【秋】
イモほりがおわったあとの、ようちえんの畑に、ひとつだけイモがのこっていました。
ある子どもが、
「らいねんまでとっておくんだ。きっと、もっと、大きくなっているよ。」
と言ったのを、モグラはきいていました。
「らいねんまたあの子がくるまで食べちゃいけないんだな。」
と、モグラは思いました。
モグラはイモがだれかに食べられてしまわないように、見はることにしました。
かえるがそろそろとうみんのじゅんびをしはじめるころです。
モグラは、たべものをすのなかにたくさんはこびました。
ゆきがふるすこしまえ、のねずみがイモをみつけました。
「ああ、イモだ。イモがある。」
のねずみはよろこんでひっぱってみたけれど、ぬけません。
「とられてたまるか。らいねんまで、まもるんだ。」
モグラはいっしょうけんめい、イモにしがみついていました。
がんばってもぬけないので、のねずみはあきらめて行ってしまいました。
【冬】
ゆきがチラチラとふるころ、リスがはのかれたイモのつるをみつけました。
「ああ、イモだ。イモがある。」
とうみんまえのリスは、よろこんでひっぱってみました。
「とられてたまるか。」
モグラはいっしょうけんめいイモにしがみついていました。
イモがぐりぐらゆれて、もうすこしでぬけそうになったけれど、リスはあきらめて行ってしまいました。
ゆきがたくさんつもったころ、一ぴきのうさぎがモグラのまうえにやってきました。
うさぎは、しばらくなにもたべていないので、かわいそうなくらいやせていました。
うさぎはゆきのしたからイモのにおいがしてくるのにきづきました。
「ああ、イモがある。」
うさぎはひっしでゆきをほりました。ちゃいろの土がみえてきて、そして、どろまみれのイモがかおをだしました。
「これでうえじにしなくてすむ。」
うさぎはよろこんで、イモをほりだしました。
すると……
イモに、小さなモグラがしがみついていました。
うさぎはびっくりしました。
「このイモは、あなたのですか。だったらぼくにください。あたりをみてもゆきばかり。おなかがすいてしにそうです。」
モグラは言いました。
「これは、ぼくのじゃないんだ。」
そして、どうしてイモを守っているのかせつめいしました。
「でも、うさぎさん、ほんのすこししかないけれど、ぼくのたべものをわけてあげるよ。」
【春】
そうして、ゆきがとけて、春になり、くさやきがみどりいろにかわりました。
モグラはずっとずっと、イモをまもりつづけました。
そのうち、イモからは、あたらしいイモができました。
そして、とうとう秋がきました。
でも、あの子がくることも、ようちえんの子どもたちがくることも、ありませんでした。
モグラは、一年生になったあの子がイモのことをわすれてしまっていることも、あのようちえんがへいえんしてしまったことも、しりませんでした。
でも、モグラはまちつづけました。
なんねんも、なんねんも、まちつづけました。
あたらしいイモが、つぎつぎとでてきました。
こうして、ようちえんのあったそのばしょは、いちめんのイモ畑になりました。
そして、冬のあいだ、どうぶつたちがうえることも、もうなくなりました。
おしまい。












