小説同盟(N-A)オンラインモグラとイモ

表紙

1枚目

【秋】
イモほりがおわったあとの、ようちえんの畑に、ひとつだけイモがのこっていました。
ある子どもが、
「らいねんまでとっておくんだ。きっと、もっと、大きくなっているよ。」
と言ったのを、モグラはきいていました。

2枚目

「らいねんまたあの子がくるまで食べちゃいけないんだな。」
と、モグラは思いました。

3枚目

モグラはイモがだれかに食べられてしまわないように、見はることにしました。
かえるがそろそろとうみんのじゅんびをしはじめるころです。
モグラは、たべものをすのなかにたくさんはこびました。

4枚目

ゆきがふるすこしまえ、のねずみがイモをみつけました。
「ああ、イモだ。イモがある。」
のねずみはよろこんでひっぱってみたけれど、ぬけません。
「とられてたまるか。らいねんまで、まもるんだ。」
モグラはいっしょうけんめい、イモにしがみついていました。
がんばってもぬけないので、のねずみはあきらめて行ってしまいました。

5枚目

【冬】
ゆきがチラチラとふるころ、リスがはのかれたイモのつるをみつけました。
「ああ、イモだ。イモがある。」
とうみんまえのリスは、よろこんでひっぱってみました。
「とられてたまるか。」
モグラはいっしょうけんめいイモにしがみついていました。
イモがぐりぐらゆれて、もうすこしでぬけそうになったけれど、リスはあきらめて行ってしまいました。

6枚目

ゆきがたくさんつもったころ、一ぴきのうさぎがモグラのまうえにやってきました。
うさぎは、しばらくなにもたべていないので、かわいそうなくらいやせていました。

7枚目

うさぎはゆきのしたからイモのにおいがしてくるのにきづきました。
「ああ、イモがある。」
うさぎはひっしでゆきをほりました。ちゃいろの土がみえてきて、そして、どろまみれのイモがかおをだしました。
「これでうえじにしなくてすむ。」
うさぎはよろこんで、イモをほりだしました。
すると……

8枚目

イモに、小さなモグラがしがみついていました。
うさぎはびっくりしました。
「このイモは、あなたのですか。だったらぼくにください。あたりをみてもゆきばかり。おなかがすいてしにそうです。」
モグラは言いました。
「これは、ぼくのじゃないんだ。」
そして、どうしてイモを守っているのかせつめいしました。
「でも、うさぎさん、ほんのすこししかないけれど、ぼくのたべものをわけてあげるよ。」

9枚目

【春】
そうして、ゆきがとけて、春になり、くさやきがみどりいろにかわりました。
モグラはずっとずっと、イモをまもりつづけました。
そのうち、イモからは、あたらしいイモができました。
そして、とうとう秋がきました。
でも、あの子がくることも、ようちえんの子どもたちがくることも、ありませんでした。
モグラは、一年生になったあの子がイモのことをわすれてしまっていることも、あのようちえんがへいえんしてしまったことも、しりませんでした。

10枚目

でも、モグラはまちつづけました。
なんねんも、なんねんも、まちつづけました。
あたらしいイモが、つぎつぎとでてきました。
こうして、ようちえんのあったそのばしょは、いちめんのイモ畑になりました。
そして、冬のあいだ、どうぶつたちがうえることも、もうなくなりました。

おしまい。